奉納演奏

翌日の佐島は快晴だった。海も緑も最高にキラキラしている。

スティーブさんの奉納演奏を聴きに、30人近くの人が集まってくれた。人口300人の島で30人!

茂子さんと重文さんもおしゃれをして来てくださった。スティーブさんとの1日ぶりの再会を喜び、手をつないでニコニコしている。

隣りの生名島からはタブラの別所さんのお友達が駆けつけてくれた。淡路島から南野さんが、広島からひろこさんが、そして「ツーリングが趣味だから行くよ!」と言ってくれていた児島の日本料理屋「清香」の大将も奥さんと一緒に駆けつけてくれた。

前日お好み焼き屋であったペンシルバニアのマシューは一人で現れた。

「こどもたちはまだオトナシくしてられないからね」

「初めての生演奏だよ、興奮するよ」と嬉しそうに、一番前の真ん中に陣取る。私もあなたと再会できて嬉しいよ。

 

ご住職と奥さんのお声掛けで、島の人たちもずいぶんと駆けつけてくださった。

あたたかい雰囲気に包まれた本堂で、ご住職のお話があり、スティーブさんのステージが始まった。

「ほう、小田の」「ほう、本家の」そんなささやき声が聴こえてくる。

スティーブさんはマイペースで、いつものように楽器の説明をはじめた。いや、スティーブさん、そうじゃなくて・・・(笑)。

太郎さんが補足のMC。ここへ至るまでのストーリーをかいつまんで話す。「ありがとう、たろさーん」とスティーブさん。

 

今回も最後の演奏でふるさとが紛れ込んだ。座っている人から思わず笑顔がこぼれる。それを見て泣きそうになる。

演奏が終わり、大喝采の後、はじめて聞いたであろう異国の音楽に、満面の笑みで口々に感想を述べながら帰っていく人々を見ながら、感謝の気持ちでいっぱいだった。

 

佐島のみなさん、スティーブさんをあたたかく迎え入れてくれてありがとう。

彼が夢見た故郷は、最高の天気と最高の笑顔で彼を迎え入れてくれた。