序章

出会い

私たちがスティーブさんと最初に出逢ったのは、彼がアメリカ人タブラ奏者タイ・バーホーとともに初来日した2007年。毎年コンサートを企画してくれている新潟のりえちゃんと、今年は誰とどんなコンサートにしようか、と相談していたときのことだ。タブラの湯沢君(ユザーン)が、「スティーブ・オダさんという人がちょうどこの時期来日しているから一緒にしたらどうだろう」と言い出した。

 

見たことも聞いたこともない日系人の演奏者。でも相当オススメらしい。たろうも名前と演奏を知っていた。カナダに住むタブラ奏者、ビニート・ヴィアスのアルバムにスティーブさんは参加していた。

 

送られてきたプロフィール写真を見て、かなり気難しくて怖い人に違いないと想像していた。

 

日本のヨガスタジオの招きで来日したタイとスティーブさんは、新宿の高級ホテルに宿泊していた。ホテルのロビーで初めてお会いしたスティーブさんは、まったく想像していたのとは異なり、ほっとするようなやさしく穏やかな眼差しと雰囲気をもったかわいいおじさんだった。

 

「日系」であり、「オダ」さんであるところのサロード奏者、スティーブ・オダさん。その意味がずしんと迫ってくるのは、新潟でのコンサートが終わった打ち上げの席でだった。